2026.06.09
虐待事案と、カスハラとの関係について
先日、岐阜県内の特養でトイレ誘導の際に利用者が嫌がり、女性利用者が50代男性職員の手を噛み、頬を叩く。職員はカッとなって、左頬を叩き返した。という虐待事案がNHK含めメディアでも流れました。
その一方で、先週には埼玉県川口市でケアマネが利用者家族から首を切られ死亡する事件が起きました。利用者(その家族も含め)から職員が殺される事件は、ここ数年、記憶にあるだけでも、いくつかあります。
2021年(2025年9月大阪地裁判決)に起きた事件で、68歳の夜勤者が72歳の利用者にハンマーで殴り殺され、殺された職員の遺族が「どうしてそんな乱暴な利用者に対して、母親一人で夜勤をさせるのか?」という論理で、施設側に安全配慮義務違反を求めたものもありました。判決では、遺族側の請求をほぼ認め、3,950万の支払いが事業者側に課せられました。さらに、2022年1月には埼玉県ふじみ野市で訪問看護の医師、理学療法士が利用者から散弾銃で撃たれ死亡した事件もありました。
虐待防止法(児童、障害、高齢等)においては、定義等でその行為の種類や類型等はあげられているが、ただそれだけの状況です。
前提として、児童、障害、高齢等等、「利用者=弱者」、「職員=強者」という関係です。
つまり、圧倒的に強い者から、何ら抵抗もできない弱者への暴力という構図です。
…はたして、そうなんでしょうか?
「(体力的に)力のある利用者」が、「(体力的に)弱い職員」を殴り負傷させた場合、これも“虐待”として認定されるのでしょうか?
■カスハラ法の施行によって、労働者を正面切って守りやすくはなったものの…
利用者が入居を含めサービスを利用する場合、利用者自身やまたその家族(保護者や法定相続人)が、当該利用者が職員を含め第三者に損害を発生させたような場合、個人賠償責任保険の加入が条件になる時代も来るように思います(施設の賠償保険は、利用者が加害者になった場合を想定していない)。
なので、弁護しやすい、という理由で、施設なり事業所側の「安全配慮義務違反」に争点が持ってこられるわけです。
はたして、施設なり事業所は、どこまでの責任を負い続けなければならないのか…