2026.05.07
Q. 2026年10月からの「カスハラ法」施行に伴い、「契約書」や「重要事項説明書」、ならびに「ご家族へのお願い文」を作成しようと思います。その際、契約の「解約」と「解除」は意味が違うのでしょうか。
A. カスハラ法の施行に伴っての効果としては、「利用者やその家族からの暴言、セクシャルな発言や行為等から、職員を守りやすくなる。」という点です。
「守りやすくなる…」というだけで、「守れる」わけではありません。
なぜなら、皆さんも想像して頂ければ分かる通り、認知症の高齢者やまた精神疾患を持つ利用者が、暴言や暴力、セクシャルな行為をしてきた場合、ならびにその家族が同じような行為をしてきた場合、
「利用者や家族のその行為で、サービス契約の解約や解除ができるのか…」と不安になることでしょう。
詳細については、またの機会に記事にしますが、質問のあった「解約」と「解除」の違いですね。
介護施設や障害福祉サービスにおいて、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策として契約書・重要事項説明書を見直す際、「解約」と「解除」は法的に意味が異なります。
特に、暴言・暴力・セクシャルハラスメント等に対して、どのようにサービス終了へつなげるかを整理しておかないと、後々「不当なサービス打ち切り」と争われる可能性があります。
まず結論からいうと、
「解約」は通常終了です。未来の約束に対する中断なり終了という感じです。つまりこれまでの契約は有効です。
「解除」は、はじめからその契約がなかったものとする、という意味合いです。つまり、これまでの契約もなかったものにする、という考え方です。重大な信頼関係の破壊(背信行為)や危険行為の結果にたどり着くようなイメージですね。
今回のカスハラ法の施行との関係でいえば、事業者側に立った、利用者やその家族対して厳しめ(強め)の契約書等を作成するのであれば、「解除」の方が文言としてしっくりくるように思います。具体的には、
- 職員への暴力
- セクハラ
- 脅迫
- 他の利用者への危害
- 継続的な著しい暴言
など、「安全確保が困難」なレベルが典型です。
カスハラ法の場合、このような事例を想定しているものと思います。
ただ、判断能力のある家族がこれらを行った場合は、警察への通報も視野に入れた対応が考えられますが、認知症や精神障害等があり、判断能力のない者が同じ行為をした場合には、警察への通報、という手はなかなか使えません。
「-使えない」というより、「-使えますが、(警察では)判断できない。解決できない。」という意味です。
条文のイメージとしては、
「利用者又はその家族等が、職員に対する暴言、暴力、性的言動、脅迫その他のハラスメント行為を行い、改善の見込みがなく、サービス提供の継続が困難となった場合、事業者は一定期間の予告をもって本契約を“解約”することができる。」
「利用者又はその家族等による重大な暴力行為、性的加害行為、脅迫行為その他職員又は他利用者の安全を著しく害する行為があった場合、事業者は催告を要せず直ちに本契約を“解除”することができる。」
といった感じでしょうか。
確認ですが、やはり介護・福祉の分野では、契約といえども単なる「契約自由」ではなく、代替サービスが困難なことがあげられ、解約なり解除した場合、保険者等の行政も難しい利用者や家族の場合には出てこざるを得ない(他のどの事業所も引き受けてくれない等から)、といった一般契約の解約・解除と性格が異なる点に注意が必要ですね。