2026.05.05

Q. 今の利用契約書には利用料を滞納した場合の規定がありません。現在利用料金を滞納している方への対応と、今後、利用者さんからの利用料の滞納があった場合にはどうすればいいでしょうか?

A. このような事例は、今後ますます増えてくると思われますね。

これからは、滞納は「増えることはあっても、減ることはない」とお考え下さい。

まず、「サービス利用契約書」や「重要説明書」等に利用者さんが支払うべき支払い義務の規定がなくても、法人が介護サービスを提供している以上、利用者さんが法人に対して利用料金の支払義務があるのは当然のことです。

おそらく、身元保証人の方や、身元引受人の方が当人の介護サービス利用の際の契約書に名前が載せられていると思いますが、その保証人の方や引受人の方に当人の未納分利用料金を支払ってもらう手もありますが、彼らに利用料金を立て替えて支払う法的義務まではありません(彼らが善意で支払ってくれれば良いのですが…)。

なので、法人側としては、保証人や引受人に事情を説明して当事者に代わって支払ってもらえるかどうかをお願いすることまではできますが、法人側に請求するだけの権利があるかといえば、NOです。

手続き的に言えば、入所施設であれば施設からの退去を求め、民事上、未払い分の利用料金を強制的に取り立てることは法的には可能です。実情としても待機の高齢者が非常に多く存在する中、きちんと支払ってもらえるであろう利用者さんを確保することは、法人経営として当然のことですから。

しかし、そうした場合の裁判費用や時間的手続き的な手間の問題だけではなく、物理的に強制執行することは法的にはできるものの現実問題としては難しいでしょうね。

現在のところ法人側としてとれるリスクヘッジとしては、成年後見制度の利用しかないと思われますが、利用料金滞納の事実経緯が、ご本人の年金等の資力が枯渇したのか、親族等に年金通帳を含めた金銭管理を依頼していたにもかかわらず、当の親族が使い込んでしまい利用料金が支払えないのか、等の確認が急がれます。

また、たとえ適切な後見人が見つかりそうな場合であったとしても、実際の成年後見制度の利用については、管理費と言いますか手数料といいますか、月に数万円程度かかることが予想されますので、資産の乏しい高齢者には現実的に利用できる制度ではないかもしれません。

滞納についての利用料金徴収の記載が「契約書」「重要事項説明書」になく、今後、滞納する利用者さんが現れるリスクを回避するには、早急に利用料金についての規定を契約書上明記し、かつ親族等に対して利用料金が滞った場合に代わりに支払ってもらえるような拘束力のある文章を交わしておくことをお勧めします。それが2020年に契約書等に盛り込まれる「連帯保証人」の規定です。

※ 滞納等の「連帯保証人」については、前回の記事を参照してください。

ただ、滞納に関する新しい取り組みとしては、利用者に利用料を支払うだけの十分な資金(年金等)があるにも関わらず、利用者が認知症等で管理できず、家族が利用者の年金の通帳やキャッシュカードを管理し、家族が使い込んでいるような疑いがあり、滞納が発生しているような場合には、警察もすぐに動きます。

「財産虐待」にあたるからです。

これまで、のらりくらりと言い訳をしながら滞納をし続けているような家族も、警察が入り、場合によっては差し押さえ等の言葉が出るようになると、あっという間に支払われるものです。

皆さんがやるべきお仕事と、第三者の関係機関に委ねていいこと、分けておきましょう。

皆さんが関わるのも良いのですが、ホトホトに疲れ、メンタルをやられ鬱になり退職することが目に見えているからです。

私も含め、第三者の関係機関等に委ねましょう。